退魔巫女、淫夜に沈む
- 2017/07/30
- 07:31
その夜は濡れ雑巾が張り付いたような、湿気っぽい熱帯の夜だった。 深夜の公園。騒がしい虫の鳴き声に交じって、調子はずれの鼻歌が聞こえてくる。 中年の男が上機嫌で草むらで小用をたしていた。 じょぼじょぼと木の根元に小便をふりかけ、何度か体をゆすって汁切りをした後、しなびた一物をしまおうとした。 がさり。 奥の草むらで物音がした。 男は酒に焼けた顔を、怪訝そうにそちらへと向けた。 風に乗って、かすかな...
退魔巫女、堕つ
- 2017/07/16
- 13:08
草木も眠る丑三つ時、静寂に満ちた神社の境内で人知れぬ戦いが終わろうとしていた。石畳を挟んで、身の半分を失った異形……鬼。それに相対する巫女は、片膝をついていた。 「ぐぐぐ、さすがは退魔巫女よの……この儂を此処まで追い詰めるとは」「くっ……一歩、及ばずか」「誇っても良いぞ、人間……貴様は儂に立ち向かったものの中で、最上の術者よ」半身を失ってなお壮健な鬼の声色が優しげなものに変わる。だが、それは悪意に満ち...
ママには内緒
- 2017/07/02
- 18:02
窓から差し込む赤い斜陽が、廊下に落ちた影をどこまでも長く伸ばす。夏特有の生ぬるいゼリーの中を泳ぐような空気の中を、バスケ部のユニフォームの少女、綾坂琴音は急いでいた。一歩を踏み出すたびに、まだ幼さを存分に残す体つきに不似合いな豊かに実った乳房が揺れる。それを両腕で掻き抱くようにして押さえながら、 人気のない廊下にぱたぱたと靴の音を響かせた。急ブレーキ。琴音が止まったのは、女子トイレの前だった。音を...