斜陽、日中の陽ざしの熾火が窓から赤く差し込んでいる。
この学校では委員会それぞれに活動室が設定されているのだが、風紀委員会もその例にもれず、三階の片隅に活動室を持っていた。
「ん……」
風紀委員会室で、重なり合う影と影。
女生徒がもう一人の女生徒の後頭部に腕を絡ませ、その唇をむさぼっていた。
長身の女生徒、西条加奈は、何度も何度も角度を変え、相手である遠野みゆきの口中を舌で蹂躙する。
みゆきも負けておらず、その舌に舌を絡めて押し返してくるが、その力は弱く、やや受け身だ。
加奈が絡めた腕を外し、顔を離す。その唇から、つうっと銀色のブリッジが伸びて、間もなく落ちた。
みゆきは夢見心地、といった体で、熱に浮いたように瞳を揺らして、加奈の整った顔立ちをただ見つめている。
そんな二人の立ち姿が、長い長い影となって机にかかった。
「……遠野さん。してほしいことがあるなら、はっきり言った方がいいわよ」
加奈、こと俺は蠱惑的に微笑んで、足をもじもじと組み替えるみゆきを見つめた。
みゆきが胸の前で何度か手をこねる。この子が意を決しようとしているとき、助走をつけようとしている合図だと、加奈は知っている。
「先輩……もっと、してください」
みゆきが幼さの残る顔立ちを朱に染めながら、俯きがちに言った。
「えらい子ね。ご褒美、あげちゃうわ」
加奈、俺は風紀委員会室の入り口に歩み寄り、鍵をかけた。
西条加奈は風紀委員長だ。
西条加奈は後輩の遠野みゆきと恋仲である。
これまでも、何度となく二人きりになった風紀委員会室で逢瀬を繰り広げている。他の場所でもやれなくはないのだが、どうやらここが一番興奮するらしい。
俺は、当然身体が一番興奮するロケーションを選択した。
振り返ると、みゆきが期待のこもった目線を送ってくる。
俺はそれをするりとかわし、みゆきの背後に回り込み、するり、と彼女の胸元のスカーフを引き抜いた。
「ぁっ」
俺はみゆきのセーラーの背中を指でなぞって、ブラジャーのホックを外す。この身体にはなれたものだ。
そして、セーラーの上から胸をまさぐる。
みゆきの胸は決して大きくはないが、整った大きさでかつ感度も悪くない。
俺は加奈の小ぶりな胸をみゆきの背中に押し付けながら、無心にみゆきの胸をこね回した。
「……っ、んん。あ……ぃ」
みゆきが身をよじり、悩ましげな声を上げる。
加奈の興奮が、心臓の早鐘が俺に伝わってくる。
いつもなら、この後。
みゆきが首を巡らせて、顔をこちらに向けてきた。
加奈の身体は俺が思考するより早く、顔を乗り出して、その唇をついばむ。
この後は先ほどの再演だ。まじりあった口内を、みゆきの舌は控えめに、加奈の舌は攻撃的に掘り進む。
お互いの唾液の味が混ざり合う。みゆき、さっきまでチョコレートを食べていたわね。
「……む、ひんっ!」
みゆきが身を震わせた。加奈の滑らかな指が可愛らしい乳首をはじいたのだ。
そして、爪先でかりかりと乳輪をひっかき始める。
みゆきがふたたびもじもじと股間を閉じ始める。
「可愛いわよ、遠野さん」
顔を離して、俺はみゆきの耳元でいつものように囁いた。
正直に言えば、顔立ちはみゆきよりも加奈の方が好みだが、俺は今加奈なので、その衝動に従っておく。
それに応じて、みゆきは体の緊張を緩めた。
そろそろいいか。
「そろそろ、いいかしら」
「は……ぃ」
みゆきがかすかに鳴いた。
俺は一度彼女から離れて、自分の席に戻る。そこに置いてある鞄、その中に目的のものがある。
ピンク色の双頭ディルド。それを取り出すと、みゆきの元に戻る。
「遠野さん、いつものようにしてくれる?」
みゆきは、俺のスカートのホックをぷつりと外し、露になったパンツをそっと下ろした。
俺は足元に落ちたスカートとパンツを一跨ぎして脚から抜いた。
ぬるい空気のもとにさらされた股間は青々と茂り、その奥を容易には見せない。
続いて、みゆきが自分のスカートを下ろしてパンツを脱いだ。
その股間は、毛一つ生えていない。
「言われたとおり、ちゃんと剃っているのね、えらいわ」
俺は満足する。加奈が満足したからだ。
加奈は一つ息を吸い、軽く止めた。そして、自らの股間に双頭ディルドの一端をあてがう。
加奈のおまんこはすでに十分な熱を水気を持っており、それをわずかな抵抗とともに受け入れる。
息を詰め、少しずつ深くまで入れていく。
「っは」
奥まで刺さったディルドを片手で捧げ持ち、みゆきに近づいた。
みゆきは机に手をつき、右足を上げた。そのつるつるのおまんこが割れて、てらりと輝く赤肉が見えた。
そこに、俺はディルドをあてがった。
ずむっ。そんな感触とともに、ディルドは加奈とみゆきを繋ぎ、潜航した。
「ぁ……ぁぁ。あ……」
膣肉を掘られる感触に、みゆきの声が震える。だが、お楽しみはこれからだ。
俺は腰を引き、ディルドを甘く抜く。
俺は加奈のおまんこが引っ張られる感触を楽しんだ。
そして、腰を打ち付ける。
お互いの女の子の部位にディルドが突き刺さり、膣の奥を強くノックされる。
「ぃっ!!」
みゆきが鳴いた。
構わない。俺はみゆきの腰を強くつかみ、ピストン運動をする。
俺の、加奈のまんこがそのたびに抉られ、唇を擦る荒い息に代わる。
「せん、ぱい……も、と、ゆっく、りぃ!」
息も絶え絶えにみゆきが哀願する。
構わない。加奈はみゆきの腰を強くつかみ、ピストン運動をする。
俺の、加奈のまんこがそのたびに抉られ、愛おしさと快感に満たされる。
加奈の愛おしさを、俺は享受する。
もっと、もっと上り詰めたい。
もっとみゆきと上り詰めたい。
「せんぱいっ、西条先輩っ……!」
甘い声が耳から入って、理性を沸騰させる。
もう止まらない……。
「みゆき!」
俺とみゆきはお互いに愛し(犯し)合っている。どちらが攻めでどちらが受けなのか、それは今の沸騰した脳みそには存在しない答えだった。
グラインドする腰の動きが、最高潮を迎える。
すでにお互いの膣奥はとろとろで、気を抜くとディルドが抜け落ちてしまいそうだ。
ぱんっ、ぱんっ……
俺が腰を打ち付ける音が風紀委員会室に響く。
ぱんっ……
「いく、いっ!!ひゃいますうううう♡」
「ぎっ、来た、来た来た来た来た来たぁ♡」
俺たちは同時に達し、のけぞった。
その拍子に股間からディルドが抜け落ち、ぬぽんとマヌケな音を立てて転がる。
みゆきはそのまま机に突っ伏し、俺は、一歩後ろにしりもちをついてぐったりとした。
それから、数分はお互いに見つめ合うだけで言葉を交わすことも、体を起こすこともしなかった。
先に体を起こしたのは、みゆきだった。
机の上にあったボックスティッシュを持って、俺の前に来た。
俺はそれを受け取り、ぬめりの付いた箇所を拭いていく。
みゆきも同様にした。
それがひと段落着いた頃、加奈は明確に言った。
「愛しているわ、みゆき」
「私もです……先輩、加奈さん」
俺が加奈を乗っ取ってから、何度も遊んだ光景だ。
加奈の愛おしさに身を任せるのはとても気持ちが良いが、そろそろマンネリを感じるころだ。
「みゆき、顔を出して」
「……え、はい」
俺は加奈の腕をみゆきの後ろに絡め、唇を重ねる。
「……せんぱ……ごぼっ!」
みゆきが咳き込む。だが、離さない。
俺が移動するまで、加奈はその力を緩めることはない。
俺は先ほど愛し合ったみゆきの口内をするりと抜けて、脳へと到達する。
みゆきの細い身体が、びくびくと痙攣を始める。
そろそろ良いだろう。こうなっては、俺の侵入を妨げるすべはない。
加奈がその腕を緩め、ふっと力を抜いた。
みゆきの身体が近くの机に手をつき、何度も咳き込んだ。
「……みゆき、大丈夫?」
と、目の焦点が合い始めた加奈が問いかけ、立ち上がろうとする。
「……ごほっ、ごほ……あーー」
みゆきは咳き込むのをやめ、加奈を振り返った。
「すみません、ちょっとつばが気管に」
目じりに浮いた涙を拭って、みゆきは、俺はほほ笑んだ。
そうしている間に遠野みゆきの記憶が、気持ちが光の速度で俺に流れ込んでくる。
「それはそうと、まだ早いですよね?」
「もう一回やりたいの?みゆきったら、忙しない子ね」
加奈が微笑んだ。
俺も微笑む。
たまには責められるのも悪くない。