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渇きを癒す(前編)
- 2017/04/08
- 18:13
自分でちゃんとした文章を書いてみたらどうなるのか、試しにやってみました。
前編です。後編まで挿絵はありません、今のところは。追加しちゃいました。
深夜の女子高。その屋上で、貯水槽に登る影があった。
影、警備員の服を着た男は貯水槽の蓋を開いた。
黒々とした水面が眼下で揺らめいている。
男は、その前で懐から取り出したビンを一気に飲み干した。
「――お、おおお"お"ぉ」
その輪郭がどろり、と末端から崩れ始め、ぴちゃぴちゃ水音を立てはじめる。
数分もしないうちに男は溶け落ち、貯水槽の中身と混ざっていった。
それからというもの、その男は二度と目撃されることはなかった。
---
翌日、放課後。
ホイッスルの音色と、年頃の女子の掛け声が交錯する運動場。
春先とは言え、それなりに暖かな日差しが、にわかに彼女たちを汗ばませていた。
「位置について、用意……!」
白線につき、身を屈める二人の少女。
一人は、ショートヘアで長身。ランニングウェアのパンツから日焼けした肢体がすらりと伸びている。
もう一人は、後ろで髪をポニーテールにしている。もう一人ほどではないが、その身体はしなやかに引き締まっている。
ホイッスルが鳴る。
二人は、弾かれたように前へと駆け出した。
ショートヘアの少女は、長い手足を優雅ともいえるリズムで前へ前へと投げ出していく。
ポニーテールの少女は、まだもたつきが残る動きでがむしゃらに手足を前へと振るっていく。スポーツブラで押さえ切れない豊かな胸が上下に揺れる。
当然、ショートヘアの少女を先頭に、二人の距離は開いて行った。
「……流石です、津田先輩」
ゴール地点でポニーテールの少女……涌井深雪(わくいみゆき)が、肩で息をしながらチームメイトからタオルを受け取る。
「大したことじゃないわ、キャリアの差よ。あなた、もうちょっとフォームを直せば化けるよ」
ショートヘアの少女……津田桐香(つだきりか)が同じようにタオルを受け取り、うなじにかいた汗を拭うと、それを肩から掛けた。
いつの間にか日差しは斜になり、校舎の影が長く運動場に伸びていた。
「今日は練習終わり!さ、帰った帰った……!」
桐香がぱんぱんと手を打ちならし、陸上部の面々が解散する。
「あー、喉渇いた……っと、ちぇっ、こんな時にドリンク忘れちゃったか」
桐香はぱたぱたとランニングウェアの胸元に風を送りながら、ぼやいた。
「……あ。津田先輩もですか。実は、わたしもです」
深雪が小首をゆらしながら、苦笑いした。
「しゃーない、水飲み場使うか。深雪ちゃん、水飲み場まだ使ったことなかったよね?」
「はい、ご一緒します」
水飲み場は校舎の陰にあり、どことなくじめじめした雰囲気がある。
それ故に、部活の生徒からはあまり評判が良くない。
桐香が蛇口をひねり、どぼどぼと出した水に顔をうずめる。
深雪もそれに倣い、水を口いっぱいにほおばった。
「うえっ、変な味い。薬きつすぎない?」
桐香が顔をしかめながらも、口元を手の甲で拭った。
「そうですか?あんまり、わからなかったですけれど」
深雪はきょとんとしながらも、口元をタオルで拭く。
「うちの学校、お嬢様学校だって言ってるけど、変なところ手を抜くからさあ」
ころころと表情を変えながら、桐香。
「はあ」
深雪はそれに相槌を打ちながら、曖昧な微笑みを返す。その視線はランニングウェアの袖口からちらちら見える、桐香の脇に注がれていた。
(……先輩の脇、綺麗だなあ。なめたら、どんな味がするんだろう)
深雪ははっとなって、頬を紅潮させ、顔をぶんぶんと振った、
(わたし、今変なこと考えてた……)
「……でさあ、数学の有坂が言ったのさ。ん、深雪ちゃん、どうした?」
桐香が深雪の顔を覗き込む。身長差があるせいで、前屈みになる体勢になり、ランニングウェアの襟首から胸元が覗いた。
とくん、と深雪の胸がなる。そして、股間に若干の熱っぽさを覚えた。
「ははあん、さては……」
桐香が悪戯っぽく笑い、深雪に手を伸ばし……
胸を鷲掴みにした。
「ようやく効いてきたかな?」
「ひゃぅ!!」
ただ胸を掴まれただけで電撃が走るような錯覚を覚え、深雪が肩を震わせた。
「せ、先輩、何を」
「いやあ、この子……津田桐香だっけ?俺をがぶ飲みしたから、早くて助かるぜ」
桐香はさきほどと変わらないあっけらかんとした笑顔のまま、笑った。
深雪はその手を払いのけ、一歩二歩と後ろにたじろく。
「先輩、変な冗談はやめてください……!」
(冗談?……違うんだなあ)
深雪は額に手を当てて、え、と口を半開きにした。
その前で、桐香はただにたにたと笑っている。
「なんで……」
深雪は端正な顔を蒼白にしながら、唇をそっと開いた。
「なんでって、俺を水に混ぜたからさ」
その唇が、勝手にしゃべり始める。
深雪がぎょっとするも、深雪の口はさらにしゃべり続ける。
「苦労したんだぜ、あの薬を手に入れるのはよ。女子高生の穢れのない体をぶんどれると分かったら、汚い男の体になんて未練はなかったね」
どくん、と、深雪の胸が早鐘を打つ。
同時に背筋を悪寒が走り、足が震えて立っていられなくなり、深雪は近くの壁に手をついた。
なのに、股間はたまらなく熱い。まるで別の生き物のように。
「おっ、始まったか。でも、ちょっと量が足りねえな」
桐香が思案し、蛇口の方へと歩み寄る。水を出し、口いっぱいに頬張った。
「いいねえ、俺。おら、深雪ちゃん、先輩がお前を完全に俺にしてくれるってさ!」
「ひ……」
怯える深雪とは裏腹に、深雪の身体は立ち上がり、口を大きく開いた。
桐香がそこに唇を重ねる。口の中の水を深雪の口内に吐き出すと、その余韻を楽しむかのように舌で深雪の口内をねぶっていく。
始め、深雪の舌は張り付いたかのように動かなかったが、次第に桐香の暖かな舌と絡み合った。
「「んっ、むぅんはあっ……!」」
ちゅくちゅくと顔の角度を変えながら、深雪と桐香はお互いの口の中を味わいあった。
唐突に深雪が顔を離した。口元から、つうっとよだれの糸が引いて、切れる。
うつろに焦点を揺らがせていた茶色の目が、急に焦点を取り戻す。
「はい、深雪ちゃんの人生終了」
そして、深雪は口角を釣り上げて邪悪に笑った。