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油断した――
そう、朝潮は思った。
何者かの気配はあったが、上から来るとは思わなかったのだ。
(何とかこれをふりはらわなk)
くちゅ、くちゅと水音が朝潮の耳から脳みそをかき乱し始めた。
「かひゅっ!!??!?」
かくり、と膝が折れた。
涙がこぼれた。
いけない、これはすごくいけないことだ。
なのに、そのたびに、あたまがまっひろになってしあわせになる
しあわせ。
しあわせ。
しあああああああわせ。
抑えを解かれた膀胱が、小水の水たまりを作った。
「……あ、ひ」
朝潮はよだれを垂らしながら、笑った。
こんな幸せなら、なんでもいい。
こんな幸せ、自分だけにはもったいない。
もったいない。
みんなにも、分けてあげなくちゃ。
朝潮は、スライムの命じるままに、みんなのもとへと這いずっていった。